肌と女性ホルモンの関係性

肌と女性ホルモンの関係性

肌の状態は、年齢とともに変化していくものですが、特に女性の肌の変化には「女性ホルモン」が深く関わっています。今回は、女性ホルモンと肌の関係性、そしてホルモンの分泌を整えるライフスタイルについてお伝えします。

女性ホルモンの肌への影響

「シミが気になってきたから、紫外線対策をしなくちゃ」「たるみを解消するマッサージをしよう」など、肌悩みに対してそれぞれ対策をされている方も多いと思います。しかし、その肌悩みの原因は外部的なものではなく、実は身体の内側にあるのかもしれません。それは、「ホルモンバランスの乱れ」。この言葉を耳にするのは、生理不順や更年期障害などについての話題が多いかもしれませんが、「ホルモンバランスの乱れがもたらすのは身体の不調ばかりではありません。シミを増やす原因になったり、新陳代謝(ターンオーバー)のリズムを崩したりするなど、肌にとっても様々な影響を与えているのです。

2種類の女性ホルモンと月経のメカニズム

●保湿ケアだけじゃなく、美白ケアも忘れないで!

ホルモンバランスは、2種類の女性ホルモンで成り立っています。エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)と呼ばれ、子どもを産むための大切な役割を担っています。

1. エストロゲン(卵胞ホルモン)

妊娠に向けた身体をつくるホルモンで、月経後から排卵前にかけて分泌量が増えます。エストロゲンはコラーゲンを増やす働きがあり、ハリと若々しさをもたらしてくれます。

2. プロゲステロン(黄体ホルモン)

排卵から次の月経が始まるまでに分泌量が増えます。プロゲステロンは、皮脂分泌を増やす働きがあり、ニキビやシミができやすくなることも。「生理前は肌の調子が悪い」と感じる人が多いのは、プロゲステロンの影響があるためなのです。
閉経年齢以降、コラーゲンを増やす働きのあるエストロゲンが急激に減少し、肌のハリや潤いを保つのが難しくなります。

年代別にみるホルモンと肌の状

女性ホルモンは月経のサイクルにより分泌量が違いますが、年齢によっても分泌量が変化します。ここからは、年代別のホルモンの変化と肌の状態について見ていきます。

1. 20代・30代
ライフステージとホルモンの変化

女性として成熟し、ホルモンや身体の状態が安定して妊娠・出産に適した時期となります。就職や結婚など、人生の大転機を迎える人も多いでしょう。30代以降は、徐々に卵巣機能が衰え始め、エストロゲンの分泌が減少します。

肌の状態

20代前半は、キメが細かく透明感のある理想的な肌の状態を保てます。ただし、中盤で「お肌の曲がり角」に差し掛かり、毛穴やくすみが目立ち始めるなど、肌老化が始まります。また、30代になると、ホルモンバランスの乱れにより、肝斑を発症することもあります。

2. 40代・50代
ライフステージとホルモンの変化

以前は体力勝負で乗り切れたことも、無理をすると体調を崩してしまうことも出てくるようになります。40代後半から50代前半に閉経を迎える人も多く、その前後を更年期と呼びます。更年期に入るとエストロゲンの分泌が急激に減少し、精神的に不安定になる、のぼせるなどの更年期障害に悩むケースが出てきます。

肌の状態

今まで気づかなかったシミがはっきりと出現したり、眉間やおでこのシワ、ほうれい線が固定化するなど、肌老化が進行します。30代に引き続き、ホルモンバランスの乱れにより肝斑を引き起しやすい時期です。

2. 60代~

ライフステージとホルモンの変化

卵巣が役割を終えた50代後半からは高齢期となり、エストロゲンはわずかに分泌されるだけになります。身体能力に衰えを感じることも多く、若々しさを保てるかどうかは仲間の存在や充実した生活から得られる気力が大きく影響します。

肌の状態

30代、40代のころに現れた肝斑は消えていきます。肌の老化現象が加速して、シミ・シワ・たるみなど肌悩みが深刻化する人もいますが、スキンケアや生活習慣、体質によって、個人差が大きくなります。同じ年齢でも見た目の印象がずいぶん違うということもあります。

ホルモンバランスが整い、美肌に近づくライフスタイルとは

肌のトラブルにつながるホルモンバランスの乱れを引き起こさないためには、生活習慣を見直してみることをおすすめします。規則正しい生活と栄養を考えた食事は、ホルモンバランスを整え、健康と美しさを保つことを助けてくれるのです。

1. 早寝早起きで睡眠のリズムを整える

ホルモンの分泌は睡眠のリズムに影響を受けます。、その睡眠のリズムを整えるには、早寝早起きを心がけることが一番。特に朝の目覚めの時間を決めておくと、規則正しいリズムをつくりやすくなります。ゆっくり布団の中にいたくなる休みの日も、あまり普段と変わらない時間に起きるようにする方が良いでしょう。

2. バランスの良い食事をとる

栄養素が不足してしまうと、ホルモンの分泌も乱れてしまいます。、米やパンなどの炭水化物、肉や魚などのたんぱく質、野菜の食物繊維やビタミンなど、バランスよく摂取しましょう。1日3食、しっかり食べることも大切です。

3. ストレスをため込まない

ストレスは自律神経の乱れを招きます。自律神経の乱れは視床下部の調節機能を狂わせ、ホルモンバランスの乱れにつながるので、ストレスで生理不順が起こるケースもあります。あまりストレスをため込みすぎないよう、自分の息抜き方法を見つけて解消することを心がけましょう。

女性ホルモンの変化に合わせて、スキンケアも見直しを

美しく年齢を重ねるためには、肌質の変化に合わせてサポートするスキンケアを適切に取り入れていきましょう。ここでは、女性ホルモンが急激に減少したあとの肌のお手入れについてお話します。

1. シワ・たるみが気になるなら、基本の保湿をたっぷりと

コラーゲンの生成を助ける働きをするエストロゲンが減少すると、肌の潤いを保つのが難しくなります。乾燥すると小ジワが増え、それがだんだん固定化されて深いシワになってしまいます。そんな時は、小まめな保湿でしっかりお手入れしましょう。例えば、保水効果の高いヒアルロン酸などが配合された保湿化粧品を取り入れるのがおすすめです。

2. シミ対策には、美白をサポートする成分を取り入れて

ホルモンバランスの乱れは、シミの原因となるメラノサイトを刺激してしまいます。更年期の前後から、シミの色が濃くなったり、大きくなってしまうことも。そんな時は、プラセンタやビタミンCなど、美白を助ける成分を多く含む化粧品を積極的に使用しましょう。

3. くすみを払いたいなら、正しい角質ケアを

肌老化が進むと、ターンオーバーが乱れて古い角質が肌の表面に残って厚くなり、肌がどんよりとくすんでしまう原因になります。そんな時は、余分な角質をしっかり落とすピーリングを取り入れてみましょう。ただし、ピーリングは使いすぎてしまうと、肌を傷つけるなどトラブルの元になることもあります。使用方法に気を付けて、透明感のある肌を目指しましょう。

女性ホルモンという観点から考えると、肌のケアは身体の内側と外側の両方からアプローチすることが大切だということがわかります。ぜひ、ライフスタイルやスキンケアを見直して、若々しい美肌を保ちたいですね。